子どもの「発達」
を解き明かす
- 水野 賀史
- MIZUNO Yoshifumi
- 篮球比分,篮球比分188発達研究センター 准教授 (小児発達学?脳画像解析学)
Profile
愛知県出身。2005年、名古屋市立大学医学部卒業。愛知県内で小児科医として10年間勤務。2015年、福井大学に着任。2017年、大阪大学大学院連合小児発達学研究科博士後期課程修了。同年、福井大学医学部附属病院子どものこころ診療部特命助教。2019年、Stanford大学客員研究員、日本学術振興会海外特別研究員。2021年、福井大学篮球比分,篮球比分188発達研究センター准教授。2022年から同大医学部附属病院子どものこころ診療部副部長を兼任。2024年より同センター副センター長兼任。
研究者詳細ページ
「診る」から心の研究へ
スタートは小児科医。未来ある子どもの健康を守ることや、特定の診療科目の視点ではなく人間全体として患者を診られることに、大きなやりがいを感じていました。しかし、神経発達症の診療を重ねるうちに、個別の治療だけでは限界があると痛感するようになりました。身体の病気と比べて、こころの病気は診断?治療法がまだ十分に確立されていません。バイオマーカーのような客観的な診断基準も乏しく、現在は臨床医の経験に基づく主観的な判断に頼らざるをえません。そこで、病気を本質的に解明し、より確かな診断?治療法を見つけるため、研究に力を入れるようになりました。
客観的な診断を探る
ADHD(注意欠如多動症)の子どもは、「集中力が続かない(不注意)」、「じっとしていられない(多動性)」、「思いついた行動をすぐにしてしまう(衝動性)」などの症状があり、日常生活に支障が出ることがあります。
私たちは、大阪大学、千葉大学などと連携し、MRI(磁気共鳴画像法)を使ってADHDの脳の特徴を探る研究に取り組んでいます。
MRI研究の課題として、サンプル数の不足や、複数施設間でのMRI機種の違いによるデータのばらつきといった課題があります。そこで私たちは、1000名以上の子どもの脳画像を集めた大規模データベースを構築し、さらに、14名の成人に複数施設を巡回してもらう「トラベリングサブジェクト法」を導入しました。この方法により、MRI機種間の影響を補正し、信頼性の高い比較が可能となりました。その結果、ADHDでは、脳の前頭葉と側頭葉の一部において体積が小さいことが明らかとなりました。経験に頼らず、客観的に診断し、より早期の介入につながる可能性があります。
研究者としては、少しずつ目標に近づいている手ごたえを感じています。一方、研究結果をすぐに診療へと還元できないもどかしさも感じています。それでも、いつか研究成果が臨床に結びつき、子どもや社会全体に役立つことを目指して、日々研究と診療に向き合っています。

図A:子ども脳データベース
図B:トラベリングサブジェクト(TS)法
図C:ADHDにおける脳構造の特徴(各補正法による)
筋トレとサウナにハマっています。筋トレは体だけでなく精神的にも良い影響があり、重いものが持ち上がるようになると達成感があります。リフレッシュのためのサウナも最高です。


