建築建設工学専攻 前期課程2年
浅野翔平さん
LEDは省エネ、長寿命、コンパクトな照明として生活に根付くようになりました。しかし、LEDの使い方を誤ると時には健康に影響を及ぼすこともあります。明石研究室はLED光を正しく使い、快適な光環境を提供する研究を進めています。
LEDは特有の分光特性のために街路灯や自動車ヘッドライトに応用された場合、ヒトの目には刺激が強すぎて不快に感じる人も多いようです。
大学院工学研究科 建築建設工学専攻 博士前期課程 2年 浅野翔平さんは、視覚が感じるLEDの「明るさ」と「眩しさ」のメカニズムを調べるために、色々な分光特性の光源を用いて被験者実験を行いました。その結果、眩しさには網膜上の明るさに寄与する視細胞である錐体の他に、薄暗いところで働く視細胞である桿体が寄与していることがわかりました。桿体は、今まで眩しさを感じる視細胞としては重視されておらず、また、現状の照度?輝度といった明るさの測光量も錐体のみに基づいて作られています。そこで新しく錐体の働きに桿体の働きを加味し、眩しさの感覚に対応する測光量を表すモデル式を提案しました。このモデル式をLEDの分光特性の選定に活用することで明るさを高めながら眩しくないLEDの開発が期待できます。
ヒトは照明のおかげで、深夜でも活動が可能になりました。しかし、このようなライフスタイルの変化は生体リズムの混乱を招き、中でも大学生は夜更かしから、早朝の目ざめが悪く、生活に支障が出ているケースが見受けられます。そこで、LEDの波長を応用し、早朝に、1時間ほど、強い短波長を浴びさせ、夕方から夜間にかけては低照度の空間で自然な眠りへと光制御で体内リズムを整える実験を試みました。まず、明石研究室が開発したセンサーを被験者である学生につけ、どんな時にどのくらいの光をあびているかを計測し、その学生の生活のリズムや活動量を比較しました。この実験により、早朝の光を浴びた後に、脳波を測定したところ、脳の覚醒が見られ、夜間の眠気評価においては唾液から、メラトニンの分泌がでていることがわかり、光制御の影響を受けていることがわかりました。このように個人のライフスタイルに合った光を適度に浴びることで、現代人が抱える寝不足、睡眠障害の解決の糸口に繋げたいとしています。