平成21年度 教職大学院卒業/あわら市芦原小学校 教諭
木内 彩乃さん
私は高校生の頃に障害児教育に関心を持ち、地元で学びたいと福井大学に進学しました。将来は福井で働きたいと思っていましたので、福井の小学校と連携し、情報が得られる福井大学は有利だと感じたからです。なかでも福井大学では、子どもたちと一つのテーマに取り組む「探求ネットワーク」という実践的な教育活動を1年次から行っているのが大きな特色。探求ネットワークで障害児と触れあう機会を持ち、その活動を通じて、一人ではなく周りと連携し協力しあうことの大切さを学びました。3年次の教育実習では障害児と接する学校教育の現場を体験し、先生の指導によって輝く子どもたちの姿を見て、特別支援教育専門の教師をめざすことあらためて決意。この分野をより深く学びたいと、大学を卒業後は教職大学院に進み、より専門的な勉強に取り組みました。大学院の長期インターンシップでは、拠点校として附属特別支援学校に通い、障害のある子どもへの理解を深めながら、教師の仕事の全体像を学ぶことができました。観察や試行錯誤の記録をもとに、他の院生や現職の先生方と討議することを通じて、経験したことの意味が確実にフィードバックされたと思います。ゼミでは重度肢体不自由児と母親を対象とした「親子学習会」に参加。会に参加したお母さんが回を重ねるごとに子育てに前向きになっていく様子を見て、保護者や地域と連携することの重要性を認識し、卒論のテーマとしました。
現在は芦原小学校で特別支援学級の担任を持ち、一人ひとりに合わせた教材をつくって、子どもたちが生きて行く上で必要な力を養えるよう努めています。福井大学に入るまでは、教師は一方的に教えるのだと思っていましたが、実際には子どもたちから教わることも多く、一緒に学びあうのだと強く実感。教師という仕事の魅力を知る機会が持てたので、やりがいをもって仕事に取り組むことができます。仕事の上でも大学で学んだことのすべてが活かされ、福井大学で学んで良かったと心から感じています。仕事はまだ2年目で悩むことも多いのですが、大学が地元福井ですから顔を出せば先生方に相談に乗っていただけるのは心強いですね。先生に言われて今でも印象に残っているのが、「子どもと一緒に成長するのが素敵な教師」という言葉。この気持ちを常に忘れずに仕事に取り組んでいます。福井大学は人柄の温かい先生方が多く、手厚いサポートのもと勉強できる環境が整っています。教職をめざす人には、学び続け、成長し続ける気持ちを持つことの喜びを福井大学で感じてもらえたら、嬉しいですね。
「障害を持つ人を援助する教師や福祉職員の専門性」をテーマに、県内の盲重複障害者施設との共同研究に取り組んでいます。障害のある子どもとその家族への教育?子育て相談や、県内外の特別支援学校や障害者施設への研究助言と現職教員の専門研修を行うほか、重度肢体不自由児と母親の「親子学習会」では月1回6年間継続して講師を担当しています。木内さんは新設の教職大学院の第1期生。1年次の長期インターンシップでは、音声言語のない生徒とのコミュニケーション教材開発に取り組み、2年次には県立特別支援学校の美術の授業への定期的な参加から、特別支援教育における教科学習の可能性や教師の専門性を考察。その実践記録は今の仕事にも活かされているようです。教師には課題を多角的?批判的に見て思考し、解決に向けて工夫する力、人の多様性を活かす協働とマネジメント力、専門性と謙虚さ、想像力、感受性が必要です。私たちは前向きに頑張れる人の入学を待っています。